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□結局は皆狼
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そういえばシャーペンの芯がなくなったなぁと思い100円均一へ向かった。
目的の物は見つかり、それを持ってすぐにはレジへ向かわず少しお店の中を回る。
最近の百均は質は勿論デザインもオシャレで本当に100円なのかと疑う程すごい。
普段使う事なんてないが、なんとなくバラエティグッズコーナーにも行ってみる。
トランプやなんちゃってコスプレなど実に豊富。

「あ…」

その中に気になる物があった。
迷わず手に取りすぐさまレジへ向かう。



「で、何でそんなもんを?」
「ウサ耳!買わずにはいられない!と思ったから」
「買ってどうすんだよ!」

今日の彼らはスクラップ置き場にいた。
各々煙草を蒸したりバイクの整備をしたり様々である。
私は武装メンバーというわけではないが、いつの間にか容易に入れるくらいに皆とは仲がいい。

「てなわけでアキラちゃん、これ付けて」
「付けるかんなもん!」
「えー!」

絶対似合うと思ったのに…!
愚痴をこぼすとすかさずアキラちゃんは私の手からウサ耳カチューシャを奪い、それを私に付けた。

「ほれ、お前の方がずっと似合うぞ」
「自分用に買ったわけでは…」

煙草を吸い、持っていない方の手でウ
サ耳をふにふにするアキラちゃん。
できれば彼に付けてほしかったが、こういうノリには乗ってくれないみたい。
ではではとウサ耳を外し周りを見渡す。
中には身構える人もいるが、たかがウサ耳だろうに。

「拓海ちゃん付けて」
「ん、いいよ」

流石モテる男拓海ちゃん!
自らウサ耳を付けてくださった!

「わー!可愛い!可愛いよ拓海ちゃん!写真撮っていい!?」
「もう撮ってんじゃねーか!」

カシャカシャと写真を撮る私に対して拓海ちゃんはニコニコと笑ってくれる。
こういうとこに女の子はノックアウトされちゃうんだなぁ。

「あ!ウサ耳と言えば!」
「今度はなんだよ…」

アキラちゃんはなんだかダルそうにしているが、ウサ耳が似合う人を私は忘れていた事にまたキラリと目を輝かせる。
武装戦線という殆どが強面が集うメンツの中で、ウサギの称号を持つ人がいるではないか!

「姫川君!」
「ん?名無子ちゃんやないの。今日もかわええなぁ」

金君と雑談をしていた姫川君を見つけ、彼の座っているソファに座る。
そう、ウサギといえば姫川君だ。
迷わずウサ耳を彼に差し出しお願いする。

「ウサ耳付けて!」
「そう言いながら付けてるや
ないの」

男の子達は髪型にとてもこだわりを持っている。
そんな彼らの頭にウサ耳の以前にカチューシャを付けるのは髪が崩れるからダメかと思いきや、姫川君からのお咎めはなかった。
とはいえなるべく髪が崩れないようゆっくりと彼の頭に装着する。
手を離し、上半身だけ少し後ろに下げ彼を見た。

「か、かっわいいー!」
「おー、拓海!名無子はあれしか言わねーのか?男に可愛いとか意味わかんねぇ!」
「まぁ名無子が楽しいならそれでいいんじゃないかな」

やっぱりウサ耳は姫川君だねと言いながらまた写真を撮っていく。
当の姫川君は何も言わず、吸っていた煙草を灰皿代わりにした缶の中に入れた。

「知っとる?名無子ちゃん」
「ん?」

あ、あれ?私何かしちゃった?いやしちゃってるだけどね。
するりと姫川君は私の手を握り、ズイと近寄った。
下から覗き込まれ、表情は何かを企んでいそうだが同時にとても色っぽい。

「ウサギはな、万年発情期なんやよ?」

なんでそんな情報を言うんだ。
今、姫川君はウサ耳付けている。
つまりこれは姫川君の事を指している…?
尚も姫川君は私との距離を短くするため接近し、比例するように私は彼から距離を置く。
下から私を見ていた彼はだんだんと体を起こし、ついには私が見上げる程に迫り、後少しで私の背中はソファに付きそうだ。
何でウサ耳を付けてる人にこうも迫られているんだ?
ふと周りを見ると皆いなくなっていた。
こ、こんな時だけ何で変なはからいをするの…!?
刹那グッと肩を押され、目の前にはウサ耳を付けた姫川君と、後ろに青空が広がっていた。

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