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□その時は無意識
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バイト帰りに目の前をフラフラと歩く女性を見かけた。
この道は一本道なため、自分の家に向かいつつ女性の様子を眺めた。
酔っているにも関わらずよくヒールで歩けるなと思っていた瞬間、女性はついによろめいたのを支えられず転んでしまった。
すぐに駆け寄り手を差し伸べる。
勢いよく転んだわけではないため怪我はないようだ。

「大丈夫?」
「無理…です…気持ち悪いっ」

どうやら立つのでやっとの状態だったらしい。
水を求めて周りを見渡すも自販機がなければコンビニもない。
タクシーを…いや高いし彼女も飲んだ後だから財布に余裕があるかわからないしそれに歩きということはこの近くなのだろ。
俺もバイト帰りなためタクシー代を出す程財布の中はそんなにない。

「家は何処らへん?近くまで送ろうか?」
「うぅ…」

今度は頭を抱え、つらそうだ。
このまま此処に放置というわけにもいかないし、言うだけ言ってみよう。

「俺の家、すぐそこなんだけど水だけでも飲んでく?なんならペットボトル渡すけど」
「水…欲しい…」

いっぱいいっぱいなのだろう、初対面とはいえ男の家に…いや、決してやましい気持ちはない。
では行くかと立たせようとしたが、フラフラだ。
仕方ないと彼女を抱き上げた。何か言われるかと思ったが、むしろ俺にもたれるように体を預けた。
それ程までに余裕がないのだろう。

アパートに着き、彼女の靴を脱がせる。
ベッドに横たわらせ俺はすぐにキッチンへ向かい、コップに水を注ぐ。
水を飲ませて意識がハッキリしてきたら彼女のせめて家の近くまで送ろうと考えた。
とんだお節介焼きだと思うが、すぐ返すわけにもいかないしこれが普通じゃないかと思う。
あ…でも普通は家の人とかに連絡して迎えに来てもらうもんか…
その案を今更思いつくなんてと少し反省。

彼女のいる部屋に行けば、ベッドに腰掛けていた。
どうやら起き上がれる程までに回復したようだ。

「はい、水」

コップに入った水を彼女の目の前に持っていくが、受け取ろうとしない。
ボーっとした表情をしていたため、もしかしてさっきよりも意識がハッキリしていないのではないだろうか。
「熱い…」ポツンと呟いた。
取り敢えず、コップを近くのテーブルに置く。
その一瞬彼女から目を離したら布の擦り切れる音。

「!?」

なんだと目を向けると、彼女が着ていた衣類を脱ぎ出した。
上着を脱ぎ捨てYシャツも近くに投げる。
おいおいおいおいと思っているうちにスカートに手をかけたので止めに入る。

「落ち着こう。どうし…」
「熱い!」

バッと俺の手の間から手を引っこ抜き、キャミソールを脱いで彼女の下着が目に入る。
もしかしてヤバイ状況なのではないだろうか。
いやぁでも俺としてはおいしい…

なんて呑気に思っていたら手を引っ張られベッドに押し倒された。
油断していたため簡単に彼女に組み敷かれてしまう。
いつの間に脱いでしまったのか、パン一じゃないか…
おいしい。実においしい状況だ。
意識があるなら大歓迎だ。だが、今彼女は酔っている。
酔っている子相手にこんなことは…

「熱そう。手伝ってあげる」
「え…?」

勢いよくTシャツを脱がされ、ズボンも引っこ抜かれた。
これはまずいんじゃあないか?
この後どんな展開が待っているんだと期待している自分がいるが、必死で理性と戦う。
ゴクリと息を飲み、彼女を見やる。
バチリと目が合う。目を伏せていたり閉じていてハッキリと顔を見ていなかったが、とても綺麗な子で赤く染まる頬からはとても色気を感じた。

「おや、すみ…」

ポスンと俺の胸に顔を埋め、寝はじめてしまった。
ベッドから抜け出そうにもガッチリとホールドされてしまい動けない。
生殺しだ…

どっと疲れが出たようで、自分も眠くなってきた。
足でなんとか掛け布団を引っ張り、掛ける。
起きた事は、起きてから考えよう。
俺は静かに目を閉じた。

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