戦国話
□5.上司と部下
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正体不明の娘を拾って来て、よりにもよって俺があの娘の世話役などと
「…」
「…プっ、………ゴホンっ」
先程からこの男は秀吉様おねね様、そして俺とのやり取りを思い出してはわざとらしく咳払いをする。
(後で責務を追加)
「…おい、言いたい事が在るのならはっきり言え」
「失礼しました、いやぁしかし、殿もおねね様にはかないませんなぁ」
「ふん、元からあの方には頭が挙がらぬ。それにああ言い出しては此方が何を言っても聞くまい」
「して、その娘とやらは、殿の部屋に居るのですか?」
「あぁ、うろちょろされて面倒を起こされては敵わぬからな」
「あの娘は...?」
「何っ!?」
俺と左近の視線の先には自室で待たせてあった例の娘だ!!勝手に出歩くなと言ったはずっ…!
「左近、少し待っていろ」
そう言い残し俺は娘に近づく。
「貴様何をしている。部屋で待っていろと俺は言わなかったか」
と口調を強めにして言ったが「あれ?えっと、石田三成さん?」とマヌケ面で返された。質問しているのはこっちだ。
「勘違いするな。お前は客人ではない。素性の知れない正体不明の女だ。今のところは生かしておいているが変な真似をしてみろ。直ぐ貴様の首を刎ねてやる」
「・・はい、すみません」
「まあまあ殿、落ち着いて下さい。お嬢さんが怖がってます。悪気があった訳でもないようですし。お嬢さんもこれからは殿の言う事を聞く、それでいいんじゃないですかぃ?」
ね?と笑顔で此方を向く
「それに今日からお嬢さんの世話係りなんですから今から険悪の雰囲気じゃあやりにくいでしょう。左近も微力ながらお助け致します」
「・・これからは気をつけろ」
「はい。言いつけ破ってごめんなさい。左近さん、ありがとうございます」
「ところで、お前の名は?」
「名無しさん名無しさんと言います。」
「名無しさんか。こいつは島左近。俺の重臣だ。詳細は知っている。俺が居ない時は左近も好きに使え」
「よろしくな名無しさん」
「はい、よろしくお願いします」