お題
□君、かわいいな
1ページ/1ページ
かぶき町で人気のカフェ店
午前には出勤前のサラリーマンやOLで賑わい、午後は奥様や学生の溜り場、夜はカップル、と毎日大忙し。
そして最近ほぼ毎日通うお客さんがいる。
「いらっしゃいませ」
「おう、儲かってんな」
そう、この人。
銀髪天然パーマで死んだ魚のような眼をしている。このかぶき町で何でも屋「万事屋」を営んでるみたい・・って言っても最近ほぼ毎日お店に来ているから疑わしい。本当なら経営は大丈夫なんだろうかと心配。
「メニューお決まりですか?」
「えーっと、じゃこのイチゴスペシャルDXください」
「かしこまりました。少々お待ちください」
万事屋さんの注文を厨房に流し、暫くして出来上がったイチゴスペシャルDXをテーブルへ持っていく。
「お待たせいたしました。イチゴスペシャルDXです」
「お!サンキュー」
「伝票こちらに置いておきますね。ごゆっくり・・」
どうぞ、と言おうとしたら
「・・・なぁ・・
君、かわいいな」
と、一口食べたスプーンを銜えながら言った
・・・
え
えぇ!?いきなり何を言うんでしょうか!?え?いやいや、ウソに決まってます!本当に仕事をしているのか疑わしいこの人ですよ!?眼が死んでますもん!天パですもん!ないですないない!
「や、やだ万事屋さん御冗談をっ」
「(・・顔真っ赤)はは、んじゃごっそーさん」
何時の間にか全て食べ終わっていて「あ俺坂田銀時ね名無しさんサン」と私の胸元のネームプレートを見、片手で手を振りながら帰っていった。
万事屋さんが座っていた椅子、置いていかれたお金をただ、見つめる事しかできなかった。
.