お題

□私の部屋の隣人さん
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「あぁぁあ疲れた〜!!」

今日の仕事終わり。
そう言いながら築ウン十年のアパートの階段を上がる。建物が古いわりには中の部屋はそうでもなく、綺麗。洋風でフローリング、キッチンも広いし、お風呂場とトイレも別。日当たり抜群。都会にしては安めな家賃で自分でも良い物件見付けたものだと関心している。住人の方も優しい方ばかりだ。
私の部屋は二階の右から2番目。そう言えばこの前左隣の足立さん(45)に肉じゃがお裾分けしてもらったなぁ…お礼に何か持っていこうかなぁと考えながら歩いていると




「お前、声でけぇな」



はいきたーこの人。私の右隣の人。
リヴァイさん。
何かしらいちゃもんつけてきてはおかずをかっさらって行くイケメン。そうイケメン。顔は良い。だが口が悪い。でもイケメン(チクショウ…!!)普段はデザイナーブランドしているらしく(なんのデザイナーか聞いたけど教えてくれない)そこそこエリートコースらしい。イケメンでエリートでデザイナーって羨ましいな!!どうせ私は調理師だよ!!バカにすんな!!
そんなエリートが何故こんなアパートに住んでいるのか、それも聞いたら特に理由は無いらしい。


「お前今帰りか?」

「そうですー足が棒のようですーやつれそうですー」

「それにしては…」

私の身体、頭の先から足の指先まで見る

「もう少し出たとこは出た方が良いんじゃねぇか?」



そう言われ少し考え、バっっと自分の胸の前に腕を持って隠す

「なっ…!!セクハラっ!!」


こんなやり取りも毎日。等の本人はただ悪気は無く普通に思ったことを言ったのか、意地悪で言ったのか(多分後者だ)、それにしたって傷付く。


「それより」

(それより!?)

「今日の晩飯なんだ?」

「今日ですか?じゃがいもがいっぱいあるのでコロッケにする予定です」

「…悪くねぇ。出来たら持ってこいよ」


持ってこい…。持ってこい!?何を言ってんだこの男。もしかして夜のおかずのコロッケを持ってこいとおっしゃったんだろうか?顔はイケメンだが口は悪いゴロツキみたいな…「お前のモノは俺のもの」みたいなジャイアニズム…!!
一言言っておこう。私と彼は只の(ここ強調)お隣さん同士。毎日のごみ捨ての時におはようございます今日も良い天気ですね〜っとか簡単に挨拶する程度のそんな軽い付き合いだ。足立さんは…まぁ、論外。


「あの、なんで、私が、あなたに、おかず「いいから持ってこいよ」はい!誠心誠意真心込めて美味しいコロッケお持ち致します!!」

ビシッと敬礼して言う。
だって…!!あの目…睨んだだけで百獣の王も気絶するよ!!ブルブルっ


部屋で待ってるから出来たら呼べと言いくさって行ってしまった。

蛇に睨まれた蛙の如く、あの魔王にかなう筈もなく言う通り持って行くしかない事を心に決め私も夕食の準備へと部屋へ入って行った。











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