お題

□自分の気持ちと相手の想い
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「さて、お風呂にでも入ろう」


一人暮らしになるとどうしても一人言が多くなる。返事が返って来ないのはわかってるけど、ついつい言っちゃうよねー。
今日はなんの入浴剤入れようかな♪桜かラベンダーか…。
洗面台に立ちふと見ると「あ!」と思った。そう、メイク落とし買うの忘れてた!あちゃー…どうしよう。私はしっかりメイク落としでファンデーション落として洗顔派だから洗顔&メイクも落ちるってゆうやつは嫌なんだ。

「買いに行こう」

時間を見てもドラッグストアならまだ空いてる。行ける行ける大丈夫。歩いて10分位かな。軽く身なりを整えお財布と部屋の鍵を持ち玄関を出た。

階段を下ろうとしたら仕事帰りなのかリヴァイさんと鉢合わせた。
Vネックの白いシャツに黒い上着を着て、黒のスキニージーンズに白のハイカットスニーカーだ。かっこいいではないかリヴァイさん。

「こんばんは、今帰りですか?」

「あぁ、お前どこか出掛けるのか?」

「え?はいちょっとそこのドラッグストアに買い物へ」

「こんな時間に?」

そう言う彼は携帯で時間を確認する。

「どうしても必要なんです!」

それじゃ失礼しますと言って彼とすれ違う。
ガシッと左手を捕まれリヴァイさんを見ると彼も自分のした行動がよく分からなかったのか少し眉間に皺が寄った。

「あ、あの…」

「悪い…。気をつけろよ」

「あ、はい!転ばないように気をつけます」

カンカンと階段を降りる音。
そう言う意味じゃ無かったんだが…。リヴァイは小さく溜め息をした。










名無しさんと別れ部屋に入る。今日は少し商談に時間が掛かったか…糞野郎が。
部屋に入ってまず服についた花粉や汚れを落とす。空気洗浄機を付ける。ファ●●●ズする。手洗いうがいする。習慣化しているので苦ではない。むしろやらないと気持ち悪い。
コーヒーを飲もうとドリップし出来るまでTVでも見ていよう。



ー次のニュースです。今日午後8時頃○○区○○町で…

「この近くじゃねぇか」

聞き覚えのある町名に耳を傾けた。

ー帰宅途中の女性が知らない男に突然暴行強姦を受け、軽い怪我を負いました。

それを聞いた瞬間、俺の頭の中はフッと真っ白になった。

ー犯人はまだ捕まっておらず、警察は詳しい目撃情報、犯人の風貌など近隣の住人に聞き込みを行っております。ー

後の言葉はなにも入って来なかった。犯人が捕まっていないこと。まだ近くにいるのではないかと言う事。…待て…あいつ…この事知らねぇよな…。

「クソっ」

考えるより先に体が動いた。部屋の鍵だけ持って戸締りし名無しさんの後を追う。
あいつ何処へ行くって言ってたか…、ドラッグストアか。ここら辺じゃ一軒しかない。













「すがおをーしーりたぁいーりーそうとちぃがぁあってもいいきぃらいになぁんてーなれるはずのなーいーじーじつぅ」

「どーすれーばーきみぃをとーじこめてーいーれーるだろーぜぇんぶおしーえてぇもりながあいすぼぉーっくすー」


上手いとは言えない歌に誰が聞いてる筈もなく、なにも知らない彼女は夜道を歩く。

だって怖いんだもん…!!街灯があるってたって、怖いんだもん!!
早く着けーなんて思っていると後ろから走って来る、ハァハァと息の続かない声がした。
びっくりして後ろを振り向くとそこには先程アパート前で別れたリヴァイさんがいた。

「リヴァイ…さん?どうしたんですか?凄い息ですよ。リヴァイさんもお買いものですか?」

等と気の抜けた事をほざく。



…無事で良かった…



「…何でもねぇ…行くぞ」

ポンと後ろ頭を軽く叩く。彼女は??だが。










「ありました!!良かった!!」

「お前…それのために…?」

正直こいつの買い物に呆れた。化粧落としって…

「それって…女の子にとって必需品です!!これが無いと肌もなんか綺麗になった気がしなくて」

「わかったから騒ぐな」

ちょっと待ってて下さいと言って名無しさんはレジへ向かう。
目的の物も購入し二人で帰路へつく。

「そう言えばリヴァイさんはお買いもの良かったんですか?」

そう聞かれたので別に無いと告げた。じゃあ何で?と聞きたそうに顔を俺の方へ向ける。ただお前が心配だったからと、言えたら世話ない。
お散歩ですかとこれまた抜けた事をほざきやがる。あぁそうだと適当に返す。

こいつといると目が離せないと言うか、心配と言うか、ぽやんとしてるからさっきのニュースの事件見たいに巻き込まれる可能性大だ。

「…お前…もう夜道を出歩くな」

「え?」

「この前の男を部屋に入れると言い、今日と言い、危機感がなってねぇ。てめぇ女だろうが。もっと自分を自分で守れ」

そう言うリヴァイさんの目は真剣で、何だか軽はずみに行動した自分が情けなく思って来た。

「う、…はい、すみません」

「あ、いや…悪ぃ…そう言う事を言いたいんじゃねぇんだ。…ニュースでこの近所で強姦事件があったらしく、犯人まだ捕まってねぇんだ。だから夜はなるべく出歩くな」



名無しさんは顔を青くし、暫く考え、今度は顔を赤くした。そしてまた考え出した。百面相か。忙しい奴だな。


「わかりました。夜は出歩きません!!約束します」


名無しさんが右手の小指を出してきた。これはつまりあれか?破ったらハリセンボンのますっつー奴。破って飲むのは名無しさんだが。

「上等だ。破ったらてめぇ覚えとけよ」







指きって二人で並んでアパートへ。



リヴァイさんの優しさが嬉しかったり…。










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