お題

□俺の部屋の隣人、間抜けた女
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大手企業、それも従業員は皆若手。
代表取締役エルヴィンを筆頭に今日も業務をこなしていく。
長年の付き合いからかエルヴィンの2番手となり部下も多数。ブランド会社へと上り詰めた。従業員同士仲も良く働きやすい環境ではある。昔の苦労した日々があったからか、エルヴィンがやり手だからか俺には分からない。
ただ言えるのはこの環境を壊したく無い。




「エルヴィン、次のデザインなんだが…」

「あぁリヴァイ…これか?」

「あぁ、大量生産させる気はない。チェーンは小さめに。サンプルでひとつ先に作ってくれ。後はアニバーサリージュエルとして創れないか?」

「ふむ…考えよう」

「頼む」

「何なに?リヴァイ珍しいねー!!自分からサンプル注文するなんて」

「うるせぇよクソメガネ」

「まさか…特別な娘でもできた!?」

「あ"ぁ?」

「そっかぁ〜リヴァイもいい人見つけたんだね!!うん!私頑張るよ!!良いサンプル創って見せるね」

「おいメガネ、勘違いすんな」

「ねぇエルヴィン!!良いよね?」

「ん?あぁいいよ。」

「ぃやったぁ〜!!」


モブリット!!仕事だ!!とメガネは話も聞かず部屋を出ていった。
エルヴィンの野郎も何かを感じ取ったらしく居たたまれなくなった俺も部屋を後にした。










午後6時30分…
帰宅途中。ふと隣に住む女を思い出す。名前は名無しさん。一年半ほど前今いるアパートに越してきた女。挨拶回りか俺の部屋へ訪ねて来た時ひぃっと悲鳴をあげた。…別に睨んだつもりは無い。あぁすみません初対面でと土下座勢いで謝られた。
それからちょくちょくばったり会って、最初は挨拶程度で。2ヵ月ほど経ったら会話をするようになった。
女の一人暮らしで隣は見ず知らずの男なのに、何とも思わねぇもんなのか。あいつが間抜けなだけか…。
ただあいつと話していると何だか落ち着いている自分がいる。着飾らない性格なのか、人見知りしないのか、良くなつく、犬だ。
あいつの作る飯は、旨い、普通に。仕事は…調理師っつったか?健康バランスもしっかり考えられてる。味もちょうど良い、俺好みだ。
この前礼とか言ってガトーショコラを作って来た。甘さ控えめですって言ってたがその通りだった。こいつ何でも作れるのか?と少し見直した。
こいつの媚びない性格は、中々気に入っている。

自分の立場上、他の会社との食事会何かもある(面倒)。勿論重役の娘とのお見合い、俺の地位に近寄って来る女、その他諸々なんかもいる。全部断っているが。
女に興味がねぇって訳じゃねぇが、息が詰まる政略結婚などとただクソつまんねぇ馴れ合いはごめんだ。



さて、今日の晩飯は何だろうか…?密かな楽しみを胸に抱きアパート前に着く。そこで隣人の女と出くわす。あっリヴァイさん今帰りですかー?と間抜けた声がした。口元が上がるのが分かりすぐ戻す。
ー晩飯何だ?
ー今日はあんかけ焼きそばです。
ー…おい、木耳入れるなよ。
ーはい?だから、なんで私がたたたたっ!!わ"かりま"した!出来たらお持ちしますー!!
ー出来たら呼べ。







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