お題

□身長
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『…ふぉおおおっ…!!!』

「…何してんだ…?」


世にも奇妙な声を出しながら先ほどからぴょんぴょん跳ねる名無しさんに声をかける承太郎。
それはもう…ヘンなモノを見るような。

『あ…っ!じょぅっ…!たっ…!…ほっ!……ろっ!』

「飛ぶか名前を呼ぶかどっちかにしな」

そう承太郎に言われ、素直に飛ぶのを止めその場にとどまる。

『ごめん…』

「んで…何やってんだ…?」

『あれ…届かなくて』

スッと上に指を指す名無しさん


そこには承太郎の身長を超えている本棚。そしてお目当ての本が何故か一番上にあると言う。
腕を伸ばせば届く範囲だが、成る程…小柄な、ましてや身長の低い名無しさんには厳しいか…と、承太郎は思った。


『あんな上にあったら届かないよ…ぐぅぅ、これは陰謀だわッ!』


誰のだよと思わず突っ込みを入れたくなるほどこの女はどこか抜けている。


『ごめん、承太郎…あれ取ってもらっていい?』

「別に構わないぜ」

『ありがとう』

そう言いながら一番上にあるお目当ての本をひょいっと
軽々取り、名無しさんに渡…す…?


ひょい…スカッ

…ひょい…!…スカッッ…!

『…』

「…」

承太郎が取った本を名無しさんの前に差し出す

それを受け取ろうとする名無しさん

だが名無しさんの手は空を掴む


『あ、あの…承太郎…?』

「あ?」


ひょい…

スカッ


『それ…取ってくれたんじゃないの?』


スカッ

名無しさんが掴もうとすると承太郎がそれを自身の頭上へやる。
当然名無しさんが届くわけも無く。
暫くの間それが続く。


『はぁっ…もぅ…!それっ!取ってくれたんじゃないの⁉︎』

「あぁ、そうだぜ」

中々届かないのでぷりぷりと怒り出す名無しさん。
取ってくれた事には感謝するが。

「これが読みたいんだろ」

『だから届かないんだってば!』


くつくつと喉の奥で笑う承太郎。
自分にはこの様な悪戯心(S心)があるとは思ってもなくて。
でも目の前にいるこのどこか抜けていて小さい生きものがどうしようもなく可愛くて。


(親にも似た感情だな)


それが違うと思うまで、あと少し…




ーーーーーーーーーーー



『ジョースターさん!承太郎がいじめます!』

「なにぃ!?おい承太郎!」

「…やかましいぜ…」








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可愛い子ほど好きな子ほどいじめたくなっちゃう

.
 

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