お題

□Scontro
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イタリア ネアポリス地区


横道に入り一軒のカフェがある。
こじんまりとした、でもどこか落ち着く場所であり、そこに一人の老婆と若い女がいた。

老婆は生まれてこの方ネアポリス地区からは離れず旦那が亡くなった後でもこうして二人で築き上げてきたカフェを営んでいる。
人当たりもよく町の住民からはよく
『マードレ』
と呼ばれている。

若い女の方は生まれも育ちもジャポネーゼ。
まだ知らない異国の地を夢見て単身このイタリアの地にやって来た。
イタリア語なんて習った事も、況してや喋った事も無くどうして…?と良く言われるが「やろう!」と思ったことは即行動、猪突猛進の如く突っ走る癖がある。
後先考えず行動するのでたまに失敗もあるが…

ある晴れた日の午後



来客を知らせるベルがチリリンっと鳴った。
そこには、お日様に負けないくらいのきらきらとした髪の毛にスラッとした背格好、くりっとした瞳からはあどけなさはあるが意志の強そうな感じが伺えた。
ついつい魅入ってしまい慌てて引き戻す。


「いらっしゃいませ」
今日はいい天気ですね、など世間話をしながら席へと案内する。
本当に綺麗な人だなっと思って見ていたらバチっと目が合ってしまった。

「日本の方、ですか…?」

話しかけられ少しびっくりしてしまった…。

『あ、はい。日本です。!!もしかしてイタリア語変でしたか!?』

「ここら辺では珍しいなっと思いまして。イタリア語もお上手ですよ」

にこっと笑顔付きで言われたものだから舞い上がってしまった。




「名無しさん、お喋りはその辺にして、ジョルノにコーヒーを出しておくれ」

キッチンからマードレが顔を出す。

『!すみませんっ!私ったら!すすすぐにお持ちしますね」


バタバタとキッチンへ引っ込む。


「あの子ったらおしゃべりに夢中になって…すまないね、ジョルノ」

「いいえ、大丈夫ですよ、マードレ。楽しい時間です。
明るくて可愛らしい方ですね」

「そうだろう、自慢のフィリアだよ」


そんな会話がされているとは知る訳もなく。






あれから急いでコーヒーを作りお客様に長話してすみませんでしたとお伝えすると大丈夫です、僕もジャッポーネの方とお話できて楽しい時間でした、と言われ優しい人なんだなぁと思った。
お詫びに午前中に作っておいたビスコットを手渡すと最初は渋っていたものの「ありがとうございます」と快く受け取ってくれた。

『今度、味の感想聞かせて下さい!』

「分かりました、ではいただいて行きます。マードレ、また来ます。
名無しさんも、また」


あれ?名前…
あ、さっきのマードレの言葉で、覚えてくれたんだ。


挨拶も元気よくと思い大きい声でありがとうございました!と言うと少しだけ振り返りくすっと笑われてしまった。

本当に綺麗な人だったなっと思い、さてがんばろうと意気込んだ午後のひととき。






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Scontro
ー出会いー


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