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「俺は─…」
眼帯の男が名前を名乗ろうと口を開く。
でも私はそれを右手を上げて制した
『人に刃物向けるくらい警戒してる相手に、軽々しく名前を言っていいの?』
「気に入ったって言ったろ?」
『貴方がそう言っても、私が名乗るとは限らない』
「政宗様に何たる無礼なっ…」
「Stop 小十郎」
後ろで刀を抜いた男との無言の攻防戦の後、折れたのはそっちだった。
刀を鞘に戻し、座る。
それでも殺気は残っていて、室内の空気は重いままだ
「俺に名前を教えられねー事情でもあんのか?」
『教える必要性は?』
眉間にシワが寄ったのを見て、また一つため息を吐いた
『ここは、私の父親の家です。大学に休学届を出して、しばらくここでのんびり過ごそうと思って来たけど、それに反して貴方達がいた。
違う世界から来たって言うなら住む場所もないだろうから、私は自分のマンションに帰ってもいい。
その代わり─…』
リビングの窓から見える蔵を指す
『あの蔵には、絶対近づかないで欲しい』
「…何故だ?」
『言いたくない』
「それで通ると思ってんの?」
また迷彩服の男がクナイを向ける。
今度は顔だ
『外に出ても貴方達の事は人には話さない』
「信じられない」
『じゃあ信じなきゃいい』
「は?」
頬にクナイが当たったまま、迷彩服の男の方を向く。
浅くだけど、切れたのがわかった
『いったい私にどうしろっての?元の世界に帰せ、なんて言われても無理だし、帰る方法も知らない』
「…アンタを殺して、帰れる可能性は?」
『さぁ?試してみれば?』
「……」
男の肩を、ハチマキ君の手が掴んだ。
迷彩がクナイを離すと同時に、ハチマキ君が床に手をついて頭を下げた
「某、真田源二郎幸村と申す。部下の非礼、真に申し訳ない。その上でお頼みしたい事がござる」
「ちょ、旦…『聞きましょう』
「某達、この世界の事は右も左もわからない状態。どうかこちらの事を教えてはもらえんだろうか」