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お待たせー、という言葉を飲み込んで、少し離れた席に座る。
私の視線の先には、逆ナンされる戦国武将達だ。
三人の女の子達に囲まれて、不機嫌MAXで無視を決め込んでいる

「ねー、暇ならどっか遊び行こうよ!」
「ハッピーセット頼むとか可愛い〜」

「「「……」」」

めっちゃイライラしてる…。
そろそろ助けに入った方がいいかな。
もちろん、助けなきゃならないのは逆ナンしてる女の子達だ

「ねぇってばぁ〜。無視しないで『ごめん。待った?』

「なつみ殿…」
「遅ぇ…」

助かった…とばかりに私を見上げる伊達と片倉。
毛利はめちゃくちゃ睨んでる。
その毛利よりも強く睨んでいるのは、私の登場をおもしろく思わない女の子達だ。
しかしそれも長くは続かなかった

「……あれ?」

一人が呟くと、周りの女の子達も、ん?と私の顔を見る


「もしかして…なつみちゃん?」
「そうだよ!市川なつみちゃんでしょ!?」
「キャー!握手してもらっていいですかぁ?」

「「「……」」」

にっこり笑って一人づつ握手をする。
伊達、片倉、毛利の三人はポカンとその光景を見上げている


「え、じゃあこの人達モデル!?」
「道理で格好いいと思ったー!!」
 
キャッキャと騒ぐ女の子達に、シーと口に人差し指をあてる

『周りのお客さん達に迷惑かかっちゃうから静かにね』

「はぁい。ごめんなさい」

『じゃあ、私達もう行くね』

ほら、と片倉を突っつくと、ハッと荷物を持って立ち上がった

『じゃあね〜』

手を振れば、応援してます〜!と言って振り返した。
三人は怖気が走る、とでも言いたい顔で私の顔面に張り付いた笑顔を見ていた


「Hey,何なんだ今の女共は」

『貴方達が格好いいから声かけたんでしょ。こっちじゃ普通だよ』

「それにしても鮮やかなお手並み…。なつみ殿は有名人なのですか?」

『うーん…まあ、普通よりちょっと顔が知られてるって感じかな。…っていうか、毛利さんもう睨むの止めてよ』

そう言うと、私の右手を取った

「貴様が離れるとロクな事がない」

はいはい、すいませんでしたー。と言って、キュッとその手を握り返した


ツヅク

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