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留守番の男達にあるモノを渡し、風魔と健を車に乗せてマンションに向かった


「……なぁ」

『何?』

「言えば?」

『……必要ないでしょ』

後部座席に乗った健が、運転席と助手席の間から顔を出す。
助手席の風魔は聞いてるのか聞いてないのか、窓の外の風景を眺めている


『言ったところで何?同情されたいなんて思ってないし』

「でも、あの人らのおかげで気晴らしできてんじゃん」

『何ソレ』

クスッと笑うと急ブレーキを掛ける。
健は突然の事に上半身をつんのめらせ、風魔のシートベルトがギュッと詰まった


「…っぶねぇな」

『…猿』

「はぁ?」

『…轢いたかも』

「はぁっ!?」

運転席のドアを開け、車の前に出ると、キョトンとこちらを見上げる一匹の小猿。
ペットなのか、首には紅白の綱がついている


「何?逃げたペット?」

『さあ?でも轢いてなくて良かった』

はぁ、とため息をついて車に戻ろうとした時、背中に軽い衝撃がきた。
振り向けば、小猿が私の背中にしがみつき、臭いを嗅いでいる


『え、ちょ?』

「懐かれたんじゃね?飼えば?」

『猿なんて飼った事ないよ。つかペットなら飼い主に戻さなきゃ…』

 
すり寄ってくる小猿の頭を指先で撫でると、嬉しそうにキッと鳴いた。
この近くの民家なら、数も少ないし探すのも簡単だろう。
とりあえず飼い主探しは明日以降にする事にして、一緒に車に乗った


「……で、話戻すけどさ。男と同棲してるなんて、じいさんにバレたらヤバいだろ?だったら先に事情話した方が『私は』

健の言葉を遮る

『秘密にしてる訳じゃない。ただ、口に出したくないだけよ…』

「なつみ…」

「……」


風魔が窓に映った私の横顔を見つめていた


 
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