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──ピピピッ

携帯のアラームが朝を告げる。
クイクイと髪を引っ張られる感触に目を開けると、野猿がキッと鳴いた


『…おはよ』

「キキッ!」


野猿を肩に乗せて自室を出れば、リビングのソファの下で正座する風魔がペコリと頭を下げた。
彼は何故かソファに座らない。忍だから?


『おはよう。すぐ朝ご飯の支度するから、ちょっと待って』

「……(コクン」

と言っても、片倉や猿飛のような手の込んだ料理はしない。
レンジでえびピラフを温め、お湯を入れるだけのスープを作る。
野猿にはバナナとイチゴだ

『簡単でごめんね。足りる?』

「……(コクン」

黙々と食べ始めた風魔に比べ、野猿はバナナの食べ方がわからないらしい。
皮を剥いてちぎってあげると、嬉しそうに食べ出した。
私は特に食欲が湧かず、カロリーメ○トを申し訳程度に胃に入れた

使った食器の片付けを風魔に任せて着替えを済ませる。
黒い服に黒いカバンは、この時期には暑苦しい


『…電話の使い方わかるよね。…じゃ、行ってきます』

「……(コクン」
「キキッ」

風魔と野猿に軽く手を振って、地下の駐車場に向かう。
車に乗り込み、一つ息を吐いて顔つきを厳しいものに変えた

 
『──…ありがとうございました』

無事、法事が済み、お寺のご住職に頭を下げる。
健は今頃風魔と野猿を迎えに行ってるだろう。
彼らが着くまで一服でも…と思った時、よく知った声に名前を呼ばれた


「なつみさん」

『……どうも』


 
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