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『ただいまー』

玄関に入ると、リビングから明るい声が響いた


「おかえりなつみちゃん。…って、夢吉!?」

「キキッ!!」

野猿は私の肩を蹴って、前田に飛び付く。
夢吉!お前も来てたのか!!と嬉しそうに抱き合う姿をポカンと眺めていると、声を聞きつけた片倉が出てきた


「おかえりなさいませなつみ殿。…何だ?お前のとこの猿も来てたのか?」

「なつみちゃんが見つけてくれたんだな!!ありがとう!!」


力加減無しにブンブンと腕を振り回される。
痛い痛い、と言うと、慌てて腕を離した。
腕をさすりながら前田の首にしがみつく野猿(夢吉、と呼ばれてた)を指差す


『その子、前田さんの?』

「俺の相棒の夢吉だ。ずっと心配してたんだ。本当にありがとう!!」

ニカッと今までにない程の笑顔に、や、ちょ、眩しい。とか思いつつ、なんとなく少し寂しい気持ちになった。
そんな私の気を察したのか、野猿がピョンと私の頭に乗る


『野猿…じゃなかった、夢吉。ご主人様に会えて良かったね』

「キキッ♪」

再び前田の肩に戻ったのを確認して、靴を脱ぎリビングに入る。
前田は他の男達にも夢吉を紹介している
 
『……』

「おかえりなつみちゃん。…どうかした?」

前田と夢吉を見つめる私に、猿飛が声を掛ける


『猿飛さん…』

「何?…って、うわっ!?///」

突然抱きついた私に、猿飛が珍しく慌てる。
真田が後ろで破廉恥だと叫んだけど、今回は気にしない

「Honey!何やってんだ!!」
「離れろ佐助!!」

「だってなつみちゃんが…」

『夢吉は…前田さんのだからいい…』

「え?」

『私はこっちの猿で我慢する…』


ピシリ、と固まった猿飛に、男達の憐れみの視線が集まっていた


ツヅク

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