カラフル

□34色
3ページ/4ページ



『い、生きてるよね?』

「……(…コクン」

うつ伏せに倒れた猿飛の頭をつつきながら風魔を見上げると、少しの間の後頷いた。
う…、と猿飛の呻き声に、風魔が小さく舌打ちをした気がしたけど気のせいだろう。そうであってくれ

とりあえず廊下に置いておく訳にも行かない。
風魔の手を借りてリビングのドアを開けた。
男達がそれに気づき、一斉にこちらを見た後、ピキンッと固まった


『いや、大丈夫。死んでないから。っていうか私じゃな「は…」

あ、と自分の姿に気づけば、もう手遅れだった


「破廉恥でござるぅぅぅぅぅ!!!!///」

「う、ん…旦那…?何叫ん…うわっ!?///」

真田の声に目を覚ました猿飛も、慌てて私から離れる。
風魔に蹴られた後頭部を押さえながら数歩下がった

「なつみ殿!貴女「破廉恥!!」たそのよ「破廉恥!!」格好をして!!」

片倉に怒鳴られる。
しかしその途中途中に、真田の「破廉恥!!」という声が入ってくるので、残念ながら怖くない。
片倉に、ごめんなさーい、と謝った後、カーテンの影に隠れる真田の後ろ髪を引っ張って引きずり出した

 
「なつみ殿!女子がそ、そのような…はしたない格好…破廉恥にございますぞ!!///」

顔を真っ赤にする真田を見下ろし、その鼻先にビシッと指を指した

『いい?これは貴方の為なのよ?貴方は女性に慣れた方がいい。少し女性の肌が見えただけで破廉恥だなんだと騒ぐようじゃ、この先恋人もお嫁さんも作れないよ?貴方の純粋なところは、女性から見たら鬱陶しい、もしくは可愛いとしか見られないんだよ?男が可愛いって言われたいの?貴方、信玄公に仕えているんでしょ?その人の役に立つんでしょ?なら妻を娶り子を作って、恒久的に武田に仕える。それが本当の忠義じゃない?』

突然のマシンガントークに真田は目を見開く

『それに、万が一貴方や、信玄公を狙う刺客が来たら、それが女性だったら、貴方の女慣れのなさは弱点以外の何物でもない。ここは刺客なんて来ない安全な場所なんだから、ここで女性を克服するのはある意味神仏が貴方に与えた使命よ。二度とはない貴重な状況なのだから、これを使わないなんて有り得ない。それにね、人間って生き物は、己の置かれた環境に応じて日々変化しなきゃならないの。それは進化とも言える。その進化こそが成長。より強く、より逞しくなる為の第一歩よ』
 
そこで一度言葉を切り、真田に向けた指を下ろす

『……強く、なりたい?』

「……(コクコクコク」

真田は首が痛くなるのではと言うほど、何度も頷いた。
私もそれを見て、よし、と頷く


『ならば慣れろ!そして己の弱さを知り、克服しろ!わかったか?真田ゆきむるぁぁあ!!!』

………勢いつけ過ぎて、最後巻き舌になった。
せっかくの迫力が台無しだ、と内心冷や汗をかいていると、真田は目を見開き、その場に手をついた


「わかり申したお館様!この幸村、お館様をお守りする為女子を克服し、必ずやお館様のお役に立つ強い男になってみせます!」

……誰がお館様?


ツヅク

→あとがき
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ