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『毛利さん、邪魔なんだけど』

「……」

髪を乾かし終えても、一向にタオルの上から動かない毛利に文句を零しつつ、次々に男達の髪を乾かす。
半ば仕事のようだ


「なつみ殿、お疲れでしょう。政宗様の髪は俺が…「No! 俺はHoneyにやってもらいてーんだ」

『……ですって』

申し訳ない…と頭を下げる片倉に、大丈夫大丈夫、と笑ってワガママ王子、基、お殿様の髪を乾かす。
微妙に毛利とピリピリ感を出すのは止めて欲しい


「それにしても、Thinな布だな」

もう慣れたのか、ピラリとスリップの裾を捲る。
真田が「破廉…っ」まで言って口を押さえた。
ショートパンツ履いてるのに…


『可愛いでしょ?』

「ああ。Cuteだ…っ!?」

伊達の視線が一点で止まる。
それを追い、ああ…と声を漏らして左手でそこを押さえた


『ちょっと透けるからねぇ…』

「……どうしたのだ」


顔色の変わった私達に、毛利が訝しげに尋ねる。
それに苦笑を返し、スリップを捲り上げた

「「「っ!!」」」

『ちっちゃい頃の火傷の痕』


右胸の下辺り。手のひらくらいの大きさのそれはお風呂で温まった体に赤く浮かび上がっている


「痛くは…」
 
ないない、と手を振って裾を下ろす

『ま、キズモノと思うかは貴方達の勝手だけど、安売りはしないからね』


そう言って笑うと、伊達がこちらを向き、眉間にシワを寄せて深く頭を下げた


「なつみ、悪かった…」

名前で呼んだ。謝った。
予想外の伊達の行動に、私だけじゃなく、後ろの男達も面食らった


『や、別に気にしてないから!頭上げて?』

慌ててそう言えば顔を上げる。
でもその顔には後悔と悲しみが表れている


『……っていうか、え?そんな顔するくらい酷い?』

「っ! んな訳…『じゃあ、もういいじゃん』


にこっと笑って伊達の頬を両手で包む

『言いたくない事は、私は絶対に言わないよ。自分からこの疵痕見せたって事は私自身、別にどうとも思ってないんだから、伊達さんがそんな顔する必要ないって』

「……なつみ…」


伊達が安心したように顔を緩ませて名前を呼んだので、少し擽ったかった


 
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