復活
□*バイト
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ウダルように暑い7月中旬。
夏休み間近。
俺は退屈な英語の授業中、膝の上でこっそりバイトの求人雑誌を見ていた。
「うーん…時給高いバイトってあんまないなぁ…。」
ボソッと呟く。
殆どが最低賃金並み。
しかも、年齢制限有り。
俺のような中学生でも出来るバイトは新聞配達くらいしかなかった。
「やっぱ、新聞配達するしかないかなぁ…。」
と半ば諦めて、溜め息をついたら丁度チャイムが鳴った。
「十代目〜!!」
悩みなんか全くないんじゃないかというくらい元気で聞慣れた声が俺を呼び止めた。
「ど、どうしたの?ごっ獄寺君?」
慌てて雑誌を机の中に隠す。
「何すか?溜め息なんかついちゃって。……もしや、お悩みでもあるんですか!?十代目!!」
「ナイナイ!」
と、否定するがいかにも怪し見えたのか、疑わしい目で見られた。
「ホントすか?隠しても無駄ですよ。今机の中に何か隠しましたよね?」
目敏いよ!
獄寺君!!
と、心の中で突っ込んでから、俺は渋々雑誌を見せた。
「バイトっすか!?十代目何か欲しい物でもあるんすか?」
「いゃ、俺が欲しいんじゃなくて……大切な人にプレゼントあげようと思ってさ///でも、俺お金無くて…で、バイト探してたんだ。」
「だ、誰っすか!?その大切な人とは!!まさか十代目、彼女が出来ちゃったとか…(ガビーン)」
「違うよ!俺彼女いないって。」
否定する自分がやけに悲しい。
「大切な人は大切な人だよ。夏休み中にまとめてバイトして貯めないと間に合わないんだ…。」
「そぅなんすか…じゃあ十代目、俺もバイト手伝います!」
獄寺君は“何か微妙に納得いかない”といった表情を笑顔で隠す。
「あっ…悪いんだけど、今回は俺一人でやりたいんだ…。手伝ってくれるのは嬉しいんだけどね…。ゴメンね。」
苦笑いして答える俺に、負けんとばかりにくらいついてくる獄寺君。
「じゃあ、バイト探すのだけでも手伝わせて下さい!」
勢いに負けて、うんと答えてしまった。
斯くして、俺たちは並盛の街中へ繰り出したのだった。