月夜草子
□散る覚悟があったとしても。
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「見て!ヤマト隊長よ!」
「きゃ〜///素敵っ!!」
黄色い声が各方から飛び交う。
「ああぁ〜!遊びでもいいからお近づきになりたいわっ!!」
「それなら私だって!あの瞳で、あの声でっ、あの腕にっ!包まれたいわぁ〜〜〜!!!」
身悶える女達の妄想は周りに拡大し、加速していく。
「きゃっ!こっち見てるっ///!!」
「いや///どうしよう!」
女性隊員達は顔を紅潮させ、紫水晶の瞳を優しく細めズンズン近づいてくる男を、恥じらいながらも迎える体勢を整える。
「ヤっ、ヤマト隊長///!あ、あの……私「ラクスっ!」
「…………え?」
キラ・ヤマトはそのまま女性隊員を素通りし、後ろを通りかかった彼が求めて止まない愛しい人に抱きついた。
「キラ//」
「ラクス……会いたかった」
彼女の桜色の髪に埋めた顔をずらし、そのまま首筋に口付ける。
「ん//キラっ!」
擽ったさから体を捩り、咎めるように彼の名を強めに発する。
「だっ〜〜て、朝以来会ってないんだよ?僕もう限界〜〜〜」
「それは……//」
キラの拗ねたような、甘えた声に捕われ、ラクスはだんだん調子にのるキラの手つきに気付かない。
「わ、私っ、だって//キラに会えなくて……寂しかったのですよ?っ、だから……早く仕事を終わらせて帰れるよう……頑張っていた、のに……///」
声が徐々に小さくなっていく度に、顔や耳はおろか、首まで赤く染まっていくラクス。
「ラクス可愛いすぎっ///!!」
そのままラクスの背を壁に押し付け、周りを完全遮断し、二人のめくるめく甘い世界へと旅立とうとする。
先程まで黄色い声をあげていた女性隊員達も、今は言葉を失い違う意味で顔を紅潮させていた。
また、元からいた隊員達や偶然通りかかった職員達も、ピンクのオーラにヤられ動く事が出来ない。
ーーゴクリー……
唯一動くのは、生唾を飲み込む喉と額を流れ落ちる脂汗ーー…。
そこにいる全員の動きを奪ったかの如く妖しく動くキラーー…。
「あっ///」
普段は凛とした涼やかな声音を発する彼女から洩れる熱気を帯びた甘ったるい声ーーー。
っっ///!!!!
その声に男性職員はもちろん、女性職員達まで過敏に反応してしまう。
「ンん//ぁ、ラァ……キ、ラぁ///」
誰かっ////!!!!
全員の切願が頂点に達した時…………