月夜草子
□漆黒のドレス
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――ガチャ……
扉を開けると、湿っぽい熱気と臭いが漂う。
締め切られたカーテンが光を遮断し、ますます陰湿な空間を演出している。
「…………」
その近くに備え付けられている大きなベッドに見える膨らみ。
「ラクス。朝だよ」
「………」
返事はない。
昨夜も、意識を飛ばすように手酷く何度も抱いたのだ。
まだ意識も体力も戻らないのだろう。
「さあ、体を綺麗にしようね」
しかしそんな事はお構いなしに、キラはラクスの体を濡れたタオルで拭く。
「……ン」
昨夜散々開かせた体に、隅々までタオルを走らせると微かに反応する体。
「………」
キラは黙ってその白い体に目を向ける。
…………綺麗
極め細やかな白磁の肌に、自分が刻み付けた大輪の赤い華が散らばる。
鮮やかなピンクの髪が、己の恥体を隠すように白い体を覆う。
水気を含んだ長い睫毛が時折揺れ、少し乾いた赤い唇がうっすら開く。
ああ……、欲しくて欲しくて堪らなかった君
こうして君を手に入れた今も、もっともっと欲しくて堪らない――……
歪んだ欲望は、どんなに満たされても、すぐ渇望に変わる………
「ラクス………起きて」
うっすら開いた唇に、己のものを重ねる。
「………ン--…ゥ」
チュク…チュク――…
重ねるだけでは物足りなかったのか、口内に舌を侵入させ動き始める。
「フッ……ハァ----ッ」
それに息苦しさを覚え、ラクスは熱い吐息を洩らしながら意識を覚醒させた。
「………キラ、さま?――…ふっ//ン----ハァ…」
逃げ気味なラクスの舌を執拗に追い掛け、より深く絡め合わせる。
飲みきれない二人の唾液が口元を流れ、首筋に伝っていく。
「んっ///」
「----おはよう、ラクス」
それを舌先で拭ってやり、再び軽く口付けた後、額を重ねて挨拶を交す。