Short

□青年
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さてさて私は今どこにいるのでしょう。見知らぬ街の路地裏で迷子だなんて…。
ひとり地図とにらめっこしていると後ろから声が。

『誰だ!』

驚き振り向くと金髪の美青年。
私の聞き取れない早さでイタリア語と思われる言葉を話される。それも当然、ここはイタリア。

「あ…あのっ…」

パニックに陥っている私を見て美青年は驚く発言をした。

「日本語?」

「え?」

なんと幸運なことだろう。
迷子の私の前に現れたのは、日本語のわかるイタリアン美青年。おまけに、優しかった。
ただ、派手な刺青とスーツな付き人が少しだけ怖い。
今の状況を話せば、目的地を問われる。

「オレたちの行き先と同じだから、連れてってやるよ」

知らない人について行くのは気が引ける…。
少し離れてついて行くことにした。怪しいと思ったら逃げればいいのだ。


「ほら、着いたぜ」

歩くこと数分、目の前に表れたのは目的地であったコンサートホール。

「あっ…ありがとうございます!」

「いいっていいって。行くぞ、ロマーリオ」

そう言って、親切なイタリアン美青年はホール内の人混みの中に消えて行った。



コンサートが終わり、外に出た私はあの人を探してみたが、見つけられなかった。まあこれだけ人がいるのだから仕方がない。

予定を詰めていたためにゆっくり観光もせず、空港へ向かう。
搭乗口でまた驚くべき出会いが。

「もう帰るのか?」

そこにいたのは先程の親切なイタリアン美青年。

「オレも友人に会いに日本に行くんだ」

そう言った彼の近くには、ロマーリオと呼ばれていた人を含むスーツの集団。しかも強面な人が多数。

彼は実は……な美青年なのかもしれない。




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