Short
□青年
1ページ/1ページ
さてさて私は今どこにいるのでしょう。見知らぬ街の路地裏で迷子だなんて…。
ひとり地図とにらめっこしていると後ろから声が。
『誰だ!』
驚き振り向くと金髪の美青年。
私の聞き取れない早さでイタリア語と思われる言葉を話される。それも当然、ここはイタリア。
「あ…あのっ…」
パニックに陥っている私を見て美青年は驚く発言をした。
「日本語?」
「え?」
なんと幸運なことだろう。
迷子の私の前に現れたのは、日本語のわかるイタリアン美青年。おまけに、優しかった。
ただ、派手な刺青とスーツな付き人が少しだけ怖い。
今の状況を話せば、目的地を問われる。
「オレたちの行き先と同じだから、連れてってやるよ」
知らない人について行くのは気が引ける…。
少し離れてついて行くことにした。怪しいと思ったら逃げればいいのだ。
「ほら、着いたぜ」
歩くこと数分、目の前に表れたのは目的地であったコンサートホール。
「あっ…ありがとうございます!」
「いいっていいって。行くぞ、ロマーリオ」
そう言って、親切なイタリアン美青年はホール内の人混みの中に消えて行った。
コンサートが終わり、外に出た私はあの人を探してみたが、見つけられなかった。まあこれだけ人がいるのだから仕方がない。
予定を詰めていたためにゆっくり観光もせず、空港へ向かう。
搭乗口でまた驚くべき出会いが。
「もう帰るのか?」
そこにいたのは先程の親切なイタリアン美青年。
「オレも友人に会いに日本に行くんだ」
そう言った彼の近くには、ロマーリオと呼ばれていた人を含むスーツの集団。しかも強面な人が多数。
彼は実は……な美青年なのかもしれない。
.