Novel

□君を想うとき
1ページ/2ページ

――17歳夏――
「和砂!!俺、彼女できたっ!!」
「は?」
このくそ暑い炎天下、汗だくにありながら人の家に来て絶叫するほどの事か? 親友のこの上ない幸せに俺はため息をついた。
「・・・暑い。早くドア閉めろ」

―・―・―・
親友の名は、椎名 絋斗。小・中・高と一緒の、いわゆる幼なじみというやつだ。
「・・・で?」
俺は雑誌のページをめくった。

――やっとコイツにも彼女ができたか。これでここ(俺の家)の出入りが少なくなるな――

「どんなやつだよ」
「んぁ?可愛いぞ。いや、かなり!お前、絶対惚れるべ」
「おい、のろけるな。可愛いだけじゃわからん。お前は女見るとすぐ可愛い、言うくせに」

絋斗は心外だと言わんばかりに胸を張って言った。
「よーく聞けよ。・・・D組の美岬 莉央!」

俺は思わず目をみはった。

「は?」
「だからぁ、美岬莉央だって。かわいーだろ?やぁっと、OKしてくれてさ」
絋斗は今まで見せたことのないような、照れたやさしい顔をした。


――美岬・・莉央――





俺は・・・ミサキに
恋をしていたのに・・
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ