貴女に片想

□彼女との出会い
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5月の柔らかな日差しの中、人通りの多い道に面したカフェ。俺はそこで恋人を待っていた。
珍しく時間通りに来たというのに、彼女はバスに乗り遅れたらしくまだ来ていない。まぁ急に呼び出したのは俺なんだけどね。
携帯の画面に目を落としていると、目の前に人の気配。
「充流」
名前を呼ばれて顔を上げると、派手な茶髪にばっちりメークの女が立っていた。確か、同じ大学のミカだ。
「やっぱり充流だったんだ。久し振り、元気?」
ミカは俺の向かい側に腰を下ろした。
「あぁ、久し振り。たまに学校ですれ違うけどな」
ミカはちょっと驚いた顔をする。
「なんだ、気付いてたんだ?ちょっとくらい声かけてくれたって良いじゃん」
ミカは唇を尖らせた。
「俺だって忙しいんだよ」
携帯が鳴り、画面を開くと恋人からのメール。今バスに乗ったらしい。
「何、彼女と待ち合わせ?」
ミカの皮肉めいた問いに、軽く頷く。
「大学入学して13人目だから、トータルで27人目かな」
俺の答えにミカは呆れた顔をする。
「私と別れてもう5人目?あんた100人斬りでもするつもり?」
ミカの答えに笑う。
「まさか。なかなか合う女の子と出会えないだけだけど」
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