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□Clovis×Lelouch
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迂闊だった。
ルルーシュ・ランペルージは己の浅はかさを呪いながら、学園の敷地内の一角、校庭横の雑木林の陰で頭を抱えていた。
腹の中を渦巻く罵詈雑言の数々も、向ける相手がいなければ何の意味もない。

事の発端はこうだ。
このエリア11の総督にして、ルルーシュの異母兄でもある、神聖ブリタニア帝国第三皇子、クロヴィス・ラ・ブリタニア殿下の突飛な思いつきによるアッシュフォード学園の視察にある。
当然この情報は、生徒会に籍を置くルルーシュには一般生徒よりも入るわけだから、万全の対策を立てていた。
ナナリーは大事を取って授業を休ませたし、ルルーシュ自身も目立たないようやり過ごしていた。
放課後までは。
このまま視察団一行が大人しく帰ってくれれば、言う事はなかった。
なかったのだが、一団とはぐれたらしき親衛隊の一人に道を聞かれたのがいけなかった。
どういうわけか、見ず知らずのその男に素性を言い当てられ、ルルーシュと親衛隊との追いかけっこが始まったわけである。

元来体力のないルルーシュに比べ、相手は正規の軍人だ。
そんな圧倒的不利な条件を、ルルーシュは地の利を生かして何とか親衛隊を撒き、今に至る。


これからどうしようか。
諦めて帰ってくれればよいのだが、第三皇子殿下は残念ながら諦めがいい方ではない。
今後の逃走経路を確保すべく、ルルーシュは一人木陰で思案に暮れた。


だから気付かなかったのだ。
己を見下ろす人影に。



「ルルーシュ!!」


急に頭上から降ってきた聞き覚えのある声に、ルルーシュはびくりと飛び上がる。
恐る恐る振り返るその先には、幾度となくメディアを通じて見ていた異母兄の姿があった。


「クロヴィス…兄さん」

「本当に久しぶりだね。ルルーシュ」


優しく微笑みながらルルーシュの方に手を差し伸べるクロヴィスをじっとりとねめつけ、ルルーシュはその手は取らずに立ち上がる。


「どういうつもりですか?これは」

「何がかな?」

「どうして兄さんの親衛隊が俺の顔を知ってたんですか!?」

「何を言うんだルルーシュ。私の親衛隊がお前の顔を知らないでどうする」

「…は!?」

「私はね、お前が七年前に死んだなどとこれっぽっちも信じていなかったんだよ。このエリアにも、ルルーシュ、お前を探しに来たのだからね!」


呆気に取られぽかんとしているルルーシュを余所に、クロヴィスは拳を握り締めなにやら演説紛いの事まで始めだす始末である。
だらだらと続く口上の中、我に返ったルルーシュがこっそりと後ずさる。
あわよくばこの場を逃げ出し、クラブハウスに駆け込む算段だ。
が、ルルーシュのそんな思惑は、思いの外素早く動いたクロヴィスによって潰える事となる。
がっちりとつかまれた腕は振り解けず、この男のどこにこんな力があったのだと、ルルーシュは目を丸くした。


「さぁルルーシュ、このまま政庁でお前のお披露目パーティーといこうか!!」

「何を勝手に!!」

「心配する事はない。礼服も既に仕立ててある」

「ほぁぁぁあああああ!?」





その後、このエリア11に副総督が誕生したとか何とか。





End.
 

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