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□0710 festa
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モニターを見つめる眼差しは真剣そのもの。
鬼気迫る様子で画面をスクロールしていくルルーシュを、生徒会の面々は遠巻きに見ていた。
誰一人話し掛けようとしないのは、こういう時のルルーシュに話掛けてもろくでもない結果にしかならないのだと、各々の経験上学習しているからである。
触らぬ神に祟りなし。


そんな級友達の事よりも、今ルルーシュにとって大事なのは、目前に迫った年に一度の大イベントをどう演出するか、なのであった。





7月10日。
それは、ルルーシュの唯一と言っていい親友、枢木スザクの誕生日だ。
故あってこの7年間離れ離れになっていた所、スザクがアッシュフォード学園に転入してくるという形で偶然再会を果たしてから初めての誕生日。
これまでのスザクの境遇を考えると、どうしても盛大に祝ってやらねば気が済まない。

しかし、そんな意気込みとは裏腹に、ルルーシュはあ当日であるというのに、その日の為の準備が遅々として進んでいなかった。


誕生日パーティー自体は、あらゆる事象を想定して計画済みである。
ぬかりはない。

問題は、メインとも言える誕生日プレゼントが決まらない事だった。


はっきり言って、今現在のスザクの好みというものが分からない。
それというのも、久方振りに会った親友は、記憶の中の彼とは対照的とも言える人物であったのである。


ルルーシュの記憶では枢木スザクという人物は、個人主義で我侭小僧だった筈なのだが、再会してみた彼は驚く程人間が丸くなっていたのだ。
人間、環境が変わるとこうも変われるものだろうかと、首を傾げずにはいられない。

それはさておき、困ったなとルルーシュは小さく唸る。
時計を見れば、既に時刻は5時を回っていた。





「おーい、ルルーシュ!」


突然、ルルーシュの視界を黒い何かが遮る。


「リヴァル!何だいきなり!!」



後ろからがばりと抱き付いてきたらしいリヴァルの腕を振り解こうと、ルルーシュは懸命にもがくも、悲しいかなびくともしない。



「どうせまだ、スザクへの誕生日プレゼント決まってないんだろ?」


「それがどうした!」



あっさり図星を突かれ、ルルーシュの声が少々上擦った。
自身の頭をすっぽり覆っているそれは、どうやらパーティーに使用する予定の暗幕らしい。



「でさ、俺にいい考えがあるんだよねー」


「何が言いたい!!」



未だルルーシュの視界は晴れない。
リヴァルの声音が妙に弾んでいる事に一抹の不安を抱えつつ、他に当てがあるわけでもないから、ルルーシュは不承不承頷いた。

次の瞬間、明るくなった視界はすぐさま別の何かによって塞がれる。



「おい!リヴァル!!一体何のま…っ!?」



見るも鮮やかな手付きで、リヴァルはルルーシュの口を塞ぎ、更にその体に何かを巻き付けた。



「んむー!うー!!」


「まぁまぁ、俺に任せとけって」



ルルーシュの言葉にならない抗議を受け流し、リヴァルはいそいそと彼の周囲を飾り付けていく。
当のルルーシュは目隠しをされている所為で、そんな事など気付きもしなかった。







それは彼が、リヴァルに任せてしまった事を激しく後悔する2時間前の事だった。



枢木スザクを祝うには


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