言えないよ(ラビュー)

□待ち合わせは屋上で
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 ポケットに入れていた携帯電話が小刻みに震えた。このリズムはメールだ。
 授業中に送ってくるなんて、と思ったが、サブディスプレイに『浦飯幽助』と表示されていて納得した。幽助は授業中だからとか考える奴じゃない。
 見付からないようにメールを開くと『今日の昼休み蔵馬んとこの屋上で待ってるからな!』とだけ書いてあった。
 一方的過ぎて返信する余地すらない。


 「よっ蔵馬!待ってたぜ」
 罪悪感ゼロの爽やかさだ。授業が終わってすぐに教室を飛び出したおかげで、幽助以外に人はいない。屋上に一番近い教室でよかった。
 ここでは南野!と訂正してから、幽助を死角に連れていく。誰かに見られたらまずい。
 「突然過ぎて事情がよく分からないんですけど。何かあったんですか?」
 「そうなんだよ蔵馬!聞いてくれよ!」
 「南野です」
 「‥え、えと、南野、聞いてくれよ」
 幽助は言いづらそうだが、徹底してもらわなければ。
 「なんでしょう?」
 「最近無茶苦茶な注文する客が増えてんだ。なんとかなんねーかな」
 人の声が聞こえてくる。そろそろ集まって来る頃か。
 「例えば?」
 「この間なんか『ルカちゃんのサインもらって来てくれ』とか言われてさー、やってらんねーよ」
 「じゃあついでにオレの分ももらって来てもらおうかな」
 「はぁぁああ?」
 「冗談です」
 幽助のびっくりした顔が凄く面白い。これだから幽助はからかい甲斐がある。桑原くんや飛影に見せてあげたい。ぼたんも楽しいリアクションしてくれそうだ。
 とか考えてる場合じゃない。まずいな、人が増えてきた。
 「何でも屋みたいな看板出してるんですから、我慢しかないんじゃないですか?それかラーメン屋一本に絞るとか」
 「やっぱそうなるか‥。お、なんだ蔵馬帰んのか?」
 「優等生が昼休みに屋上で不良少年と雑談なんて、オレのここでのイメージが崩れるじゃないですか。それと南野!」
 「ヒデーな」
 「あー!南野じゃん」
 ふて腐れた幽助の向こう側から聞き慣れた声が聞こえた。
 「屋上にいるなんて珍しいね」
 「えっと、まぁいろいろあって」
 いつものよく喋る女子のグループと、転校生か。
 「ねぇ隣の人誰?」
 「盟王‥じゃないよね?」
 「え、あぁ、この人はえーと」
 「オレこいつのダチなんだ」
 「へー、なんか意外だなぁ」
 「てか校則違反だよー南野くん」
 「すみませんが、このこと誰にも言わないでくれませんか‥?」
 「たまには叱られなよ優等生」
 「何言ってんのよー。大丈夫よ南野くん、言わないに決まってるでしょ?そのかわり、私たちがやばいときは助けてよね」
 「もちろんですよ」
 「じゃこれからは授業中当てられても平気だね」
 「あはは」
 「南野の友達くん、先生に見つからないように上手く帰りなよ」
 「お、おう」
 言いたいことを各々言って、女子たちは屋上の人込みに紛れていく。
 「幽助、こういうことになるからオレは早く帰りたかったんですよ」


待ち合わせは屋上で

 空は、よく晴れていた。








‐‐‐‐‐‐‐‐

携帯を持たせてみました。
てか自分で書いといてなんですが、
幽助よ、飯時に店空けちゃまずいだろ。
あ、夜専門とか?

'10.09.04

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