□第1話
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 出会いは突然――



*ANOTHER EYES*



 やっと終わった。
 心の中でほっとする蔵馬。
 電車の中でぎゃあぎゃあと騒ぐ幽助と桑原を見て、平和だな、と思う。

「おい蔵馬!乗り換えの間2分しかねーぞ!」
 少し焦った様子で桑原は言った。
「これは走った方がいいですね。」
「だな。」
 蔵馬の意見に賛成する桑原。
「別に次の電車でも―」
 ささやかな抵抗をする幽助をよそに、蔵馬と桑原は走り出す。
「お、おい!‥‥くそ〜〜!」

『まもなくドアが閉まります。ドア付近のお客様、ご注意下さい。』
 閉まりかけるドアに向かって3人は滑り込む。
「だぁー!!なんでこんなトコで全力ダッシュしなきゃなんねーんだよ!?」
「仕方ないじゃないですか。各駅停車は30分に1本しか来ないんですから。」
「男3人で駅で30分も何するってんだ?」
「うっ‥」
 幽助のリアクションは面白い。
 自然と笑みが零れた。
 その横で2人はまだ言い合っている。
 懲りない奴らだな。
 電車の中で、蔵馬の微笑みは絶えることがなかった。

『右側のドアが開きます。ご注意下さい。』
「それじゃ。オレはここだから。」
「おう!」
「じゃーな!」
 威勢のいい言葉に送られながら、改札を通り、バスに乗る。

 この時間はかなり混んでるな。
予想外の人の多さに、バス車内を見渡す。
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